図書館から借りて読んでいます Vol.21

 電通S.P.A.T.チーム編『買いたい空気のつくり方』(ダイアモンド社)
買いたい空気のつくり方―AISAS型購買行動に対応する広告・販促・陳列・接客等のアイデアを電通が提案
先日提出した修士論文に内容が近い著作である。

「売り場」はいま、賢くなった消費者が主役となる「買い場」への変換を迫られている。「買い場」発想とは、すべてを消費者起点で考え、購買行動ストーリーの全体像を把握し、発信すべき情報の編集と最適配置を考えるということである。企業が主体となって消費を引き山していく従来の「AIDMA」モデルから、あらかじめ消費者の槻極的な働きかけを想定した「AISAS」モ
デルへ企業の概略転換が必要になっているということでもある。特に注月したいのは、「AISAS」モデルの最後の「S」の「Share」が、購買後の満足感やある種のロイヤルティーから生まれているという点である。消費者は、自分の気に入らなかった商品に関しては、好意的な情報を広く共有しようとは思わない。「AISAS」のプラス情報の循環が発生するか否かは、企業やブランドヘのロイヤルティーも含めて、消費者の「好意的な態度」を引き起こせるかどうかにかかっているといっても過言ではない。そうした「好意的な態度」へ導き、良好な関係性を築くことで、従来あらゆる情報の受け手であった消費者が、逝に情報の発信源となり、企業になり代わって消費者の購買意欲を喚起してくれるのだ。
発想の転換を図る企業は、プロシューマー化する消費者が持つ、「情報収集・創造・発信・共有する力」を手にするために、さまざまな方法で消費者との良好な関係づくりを図りつつある。